朝食の役割
私たちは寝ている間も、エネルギーを使い、栄養素を使って細胞の新陳代謝を行っています。
朝起きた時はエネルギーや栄養素が少なくなっている状態です。
朝食には、身体が活動するための準備を整える役割があり、寝ている間に使って少なくなった分を補充して、午前中しっかり活動できる状態を作ってくれます。
朝食を食べることの利点
食事をすると食べ物は
口→食道→胃→小腸→大腸→肛門
の順に、それぞれの臓器で消化吸収されながら運ばれていきます。
この口から肛門まで通っている一本の管のことを消化管といい、消化管全体の筋肉活動によって運ばれて行っているわけです。
朝食を食べると、消化管の筋肉が動き出します。
筋肉が動くと熱が作られます。
体温は、朝食後に上昇し始め、お昼に最高値になり、昼食でエネルギー補給をして午後の活動に備えます。寝ている間に下がった体温を上昇させ、一日の始まりである午前中を活動的で素晴らしいものにしてくれるのです。
また、口から摂取された食べ物は、食道を通って胃へ入ると、胃・結腸反射がおこり腸が動き出します。
胃の中でドロドロ状態になったものは、小腸へ運ばれさらに吸収され、大腸へ運ばれます。大腸では、水分が吸収され、徐々に便が形成されていき腸のぜん動運動によってS状結腸から直腸へ送り出されます。
朝食をきちんと食べることで、
- 午前中の活動をより良いものにし
- 身体に熱を作り
- 排便のリズムを作ってくれている
のです。
朝食って本当に大事です!
社会全体の問題《欠食》
朝食についての意識の違いも関係していると思われますが、新たな問題として、朝食の《欠食》が問題視されています。平成22年度の調査では、全年代の欠食率は10.4%でその数は年々増加傾向にあります。
この調査の欠食とは、何も食べない・口のしない、お菓子・果物・乳製品・嗜好品のみ食べる、錠剤・顆粒・カプセルなどのサプリメントだけ、栄養ドリンク剤だけと回答した人の合計です。
朝食を欠食すると、
- 寝ている間に少なくなったエネルギーと栄養素は補充されないまま午前中を活動することになるので、お昼までエネルギーが持ちません。
- 脳で使われるエネルギーはブドウ糖から補充されるのですが、肝臓に蓄えられているブドウ糖は12時間しか持たないため、朝を抜くと、前日の晩ご飯からお昼までの間は計算するまでもなく12時間以上空くことになります。特に、子どもの学校生活において、集中力低下による怪我や学力に影響が出ることが考えられます。
- 朝食の欠食の影響は身体の体温にも現れます。朝起きて通勤・通学などで筋肉を動かすことで熱は作られますが、それも一時的に体温が上昇しているだけです。
- 排便に関しても、欠食をすることで、便の元となる食べ物が身体に入ってこないので、胃腸の刺激がされないことと、便を作ることができないために排便リズムが崩れてしまい、便秘を引き起こす原因にもなります。
子どもたちは私たち大人の鏡です
食育という言葉がありますが、これは大人が食の知識と理解を深め、積極的に家庭や社会で関わりをもち、一人一人が毎日の生活の中に食育を取り入れていくことが大切です。
現代の食の特徴として「5つのこ食」があげられます。
5つのこ食
孤食・・・一人で食事を食べること
個食・・・家族や複数で食事をする中で、それぞれが個別のものを食べる
小食・・・たくさんの量を食べないこと
粉食・・・米食ではなく、小麦粉を原料としたもの(パン・麺・パスタ等)を食べること
固食・・・同じものばかり食べること
この中の 孤食と個食は子どもの欠食につながる原因とも言えるでしょう。
一緒の食卓で、子どもと大人が同じものを食べ会食することは、
- 食に感謝する心
- 食材や栄養素、調理方法や伝統の継承
- 食を選択する判断力
- 自らの食について考えられる人間作り
という意味でもとても大事なことです。しかも、家庭の食卓は、心身の健康と安定、思いやりの心を育み、しつけにもなります。
今の子供達が大人になった時に、自分がしてもらってきたことをその時代の子供達にするものです。
しっかりと、子供達に関わっていきましょう!
「早寝 早起き 朝ごはん」
この言葉は、大好きな言葉の一つです。
文部科学省では平成18年「早寝 早起き 朝ごはん」運動を推進し、子どもの生活習慣や生活リズムの向上につながる取り組みをしています。
「青森県北津軽郡鶴田町」では、平成16年から「朝ごはん条例」をつくり、朝ごはん運動に取り組んでいます。全国で初めて「朝ごはん条例」を制定した町として全国でも話題になり、平成17年には地域づくり総務大臣表彰を受賞しています。
- ごはんを中心とした食生活の改善
- 早寝・早起き運動の推進
- 安全・安心な農産物の供給
- 地産地消
- 食育推進の強化
- 米文化の継承
の6つを基本方針として取り組んでいった結果、朝食をとらない児童が減り、児童の肥満割合も減少したという結果が得られています。
欠食は、家庭だけの問題ではなく社会全体の問題として取り組んでいくことで減らしていくことができます。
未来を担う子供達を社会全体で守り、健全に育てていきたいですね!!!
コメント
とても勉強になりました。